manifesto
●デザインはイノベーション?
広告デザイン、コピーライティングなどの宣伝広告領域の仕事はそれ単体では独立したものとしての形態を持ちません。デザインされるもの、表現するべき事象があって初めて仕事が成り立ちます。そういった意味では、見た目の派手さに比べて実際は依頼があるのをひたすら待ち続けるとても受け身な仕事なのかもしれません。もちろん、企業に対して提案という形でアプローチすることも多くありますが、それでもアプローチするべきものの姿は私たちの側にはありません。何かを開発する仕事でない限り、私たちが感じる限界のひとつもそこにあります。見方を変えればそれは限界ではなく、限定された責任の元に客観的アプローチが可能であるということなのかもしれません。しかし、刹那な流行という言葉の上に長く乗り続けていた私たちの仕事は「3.11」のような大きな社会的転換期が来たときあっという間にその仕事の社会的意義を問われることになります。もちろん長期的ビジョンに立てばこの仕事の重要性をじっくりと説明することも可能だと思います。しかし、そこに見えてくるのは、今までの既存の枠組みにとらわれたやり方の繰り返しではないはずです。ものの本質を見抜いて的確に表現して行くこれまでのポリシーを生かして、私たちの側から発信できることとはなんなのかを問い直す時が来ているのではないでしょうか。そんな中で私たちはいろいろな可能性を秘めた企業や個人と、共通の価値観を見つけながら、新しいものづくりや、ライフスタイルの提案が出来るフレキシブルな仕事の形態はないのだろうかと考えました。依頼を受けたものを形にするのはもちろん、違う領域の仕事と組み合わせることで生まれるクロスオーバーされた新しいスタイルの創造、組み合わせることで生まれる思ってもいなかった発見がそこに見いだされるかもしれません。もちろん、多くの企業体が試みてきたことなのかもしれませんし、企業間や企業と個人の垣根を越えて行くことはとても大変な作業かも知れません。しかし、そこに明確なアイデアの形が見えたとき、突破する糸口は必ず見つかるはずです。私たちがめざすジョイント・イノベーションとは、もちろん私たちの持つ強みであるアイデアという秘密兵器を駆使します。例えば白い紙に絵を描くのか、字を書くのか、折り曲げて何かを作るのか、燃やすのかといった既成の概念をどう乗り越えて行けるのかということです。もし、食品会社とのイノベーションが成立すれば紙は食べるもの、という新概念が生まれるかもしれません。製鉄会社とのイノベーションが成立すれば鉄は折り曲げて持ち運ぶものという常識が生まれるかもしれません。アイデア(想像力)とは、どんな常識も、どんな困難な状況もたやすく超える力を持っています。そんな私たちの想像を妄想ではなく、しっかりと地に足のついたイノベーションに替えて行くことが私たちの大きな目標です。